虫歯は歯の表面に粘着したプラーク(バイオフィルム)が飲食をするたびに栄養を取り込んで、酸を放出します。プラーク(バイオフィルム)から放出された酸が「エナメル質」の中に浸透して歯を溶かし(脱灰)、硬い歯がまるで豆腐のように柔らかくなります。この歯が柔らかくなった部分を一般的に「虫歯」と呼ぶのです。
そこに虫歯菌が侵入して、さらに内部への穴の連鎖が続いていきます。これが、虫歯ができて、深く進行していくメカニズムです。そして歯質がどれぐらい溶かされたかによって治療法が変わってきます。
虫歯は「削る」「埋める」「抜く」ことが主な治療と認識されてる方も多いと思います。 しかし虫歯は削ることで一時的には回復しますが、歯自体は弱くなり、すぐに再発することもあります。人間の永久歯は失ってしまうと、二度と再生しない大切な臓器の一つです。どんなに精巧に治療を施したところで、人工的な対症療法に他ならないのです。
そのため、立石ファミリー歯科では、歯を削る場合も最小限に抑え、できるだけ天然歯を残す方針で治療を行ないます。初期の虫歯は極力削らずに予防処置を行い、経過を観察します。予防がうまくいき削らずに済むのであればそれに越したことはありません。残念ながら虫歯が進行してしまい、患部を削るケースもございます。やはりその後も経過観察とメンテナンスが重要なのです。
■ 歯の構造
虫歯の原因は細菌です。ひとまず治療により症状は改善されますが、この根本原因である細菌に対処しなければ、またどこかが虫歯になってしまいます。経過観察やメンテナンスはこの根本原因である虫歯菌に対する最も有効な防衛策といえます。当院では、この「歯を守る」予防治療を重視しております。
皆様ができるだけ永く、ご自分の歯で咬むことができるように適切にサポートしていきます。
虫歯治療の際に歯を削ると、虫歯の除去が目的とはいえ歯にとってはダメージとなります。治療が目的でありながら、その箇所が大きければ大きいほど歯の寿命を縮めてしまうのです。「ミニマルインターベンション(MI)」とは、それを防ぐための治療で侵襲を最小限に抑える考え方です。ミニマルインターベンションによる虫歯治療は、図1〜5の原則に則って行われます。
ミニマルインターベンションを心掛ける場合、従来のように虫歯をすぐに削ることはありません。再石灰化が可能かどうかを最初に見極め、可能であればその方向で治療を進めます。また歯を削る必要がある場合でも、できる限り侵襲を最小限に留める充填方法や材料を選択し、治療後にはメインテナンスを徹底して虫歯の再発を防ぐのです。
初期の虫歯を再石灰化させる
口腔内の虫歯を減少させ、虫歯の進行を防ぐ
必要最低限の虫歯除去を行う
再修復よりも補修充填を心がける
メンテナンスを徹底し、虫歯再発を予防する
C1:虫歯の初期症状
歯の表面のエナメル質の部分のみ虫歯になっており、歯の表面が白く濁ったり黒く見えている状態で、特に痛みを感じることはありません。この段階で発見できれば、歯へのダメージは少なくてすみます。
C2:象牙質まで進行
虫歯が象牙質(エナメル質のさらに深い部分)にまで進み、歯の表面が黒く見えている状態。飲食で痛みが伴う事があります。この象牙質は柔らかいため、虫歯が広がりやすくなります。
C3:歯髄まで進行
歯の表面のエナメル質の部分のみ虫歯になっており、歯の表面が白く濁ったり黒く見えている状態で、特に痛みを感じることはありません。この段階で発見できれば、歯へのダメージは少なくてすみます。
C4:虫歯の末期症状
さらに虫歯が進行すると神経が死んでしまい痛みを感じなくなります。ここまで来ると抜歯をしなければならない場合があります。根っこだけになってしまうと保存できる可能性も非常に低くなってしまうので、そのまま放置せずクリニックにお越し下さい。